F.L―extra―

「関、今噂になっている事は本当なのか」

「黙ってないで、きちんと説明しなさい!」


進路相談室に集まった教師は全部で5人

校長・教頭・学年主任・担任

…そしてあの女、原田優美


教頭と学年主任は、進路指導室に入ってくりなり、険しい顔をして俺を問い質し続けていた。



本当なのか?
説明しなさい!

口ではそう言いながら、奴らが俺の意見を聞くつもりなんか、全くない…

それを分かっているから、俺はなにを聞かれても口を閉ざしていた…

無駄なところに費やす力は、もう俺にはなかった…



「先生方…、あまり関くんを責めないであげて下さい」


ひたすら黙秘を貫く俺を見て、“優美ちゃん”が涙ぐみながら、そう言った


「私の、私の不注意だったんです!中学生も立派な男性なんだって忘れていて…。だから、関くんだけを責めないであげて下さい」



あんな目に遭ったのに、それでも生徒を庇う優しい保険教諭


昨日あれだけの事をしておいて、“優美ちゃん”は白々しくも良い先生を演じていた


その一方で、手には仰々しく包帯を巻き、生徒に暴行を受けた哀れな先生でいることも忘れていない


“優美ちゃん”用意周到のシナリオに、俺は言葉を失っていた






もう、いい…


もう、分かってる…

ここで俺が自分の過ちを認め、謝罪すれば、それで全て終わりなんだ…

この場にいる誰もが、そのエンディングを狙ってるんだ…




だったらそうするしかない…



親にすら信じてもらえないような俺なんかに、他に出来ることなんかないんだから…