小此木・・・?

走り去っていく小此木の姿と、廊下に立ち尽くす御琴を見て、わたくしはピンときましたわ。

「修羅場ですわね?」
「うわぁ!?」

御琴の驚きっぷりにニヤつきながらも、わたくしは語り続ける。
「まったく御琴さんときたら・・・。三つ編みにセーラー服の美少女、もとい文芸部部長を振りましたの?結局体が目当てだったんですのね!?」
「はい!?ち、違いますってばアリスさん!!」
「違うのなんて最初から分かっていますわ、このビッチ」
「そんな言葉使わないでください!!ファンの方が泣きますからやめて!!」
「わたくし、容姿端麗で文武両道ですから」
「知ってますからやめっ―!?」

御琴の手を無理やりわたくしの胸に押し当ててやりましたわ。
はっ!馬鹿め!!騙されおって!!

「どう?私のほうが小此木嬢より胸はありますわよ?」
むしろ大きすぎるくらいですもの。
「っ・・・うあぁああぁぁぁああぁぁあぁぁあっぁ!!!!」
あらあら、御琴さんが慌てて離れて逃げて行きますわ・・・。

「まったく、何やってんのよ、あんた」

「あら?」
「性格が猫かぶりじゃない。本性見せなさい」
「・・・・・・」

「生徒会長、藤堂さん」

「何ですか」
「さすがね。ヤクザの家で育っただけあるわー。眼力だけですごい迫力」
「名倉、うるさいわ」
「はいはい。とーどーさん」

なっちゃんとは腐れ縁で、わたくしとしても過去にやらかしてしまった爆弾事件の数々を知る彼女とは早く縁を切りたいのですが・・・。
この典型的なうざキャラは言うこと聞かないんですわ。
まったく、このビッチ。
「藤堂さん、じゃなくてアリスだよね」
「・・・なっちゃんは相変わらずうざったいわ」

わたくしは今日も現実を見ない。
ただ、なっちゃんと一緒に街で一暴れするために勉学へ励む。

この人生は、我が組のために使うと決めた。
だからわたくしは医学を習う。
祖父や父の守ってきた組を手助けするために。