僕が梓に笑いかけたとき―
小此木先輩が、必死にこちらへ走ってきていた。

「待って!あ、あなたが、梓さんなの!?」

そう叫んでいた。
梓は振り返り、小此木先輩へ問いかける。
「あなたが小此木博士の孫・・・。LeD LiNKのサーバーを管理してくれていたのね」
「そ、そんな凄いことじゃないわ・・・。あなたの方が、ずっと・・・」

「御琴、聴いて」

「えっ・・・?」
「私は科学と超能力、両方を研究してきた。小此木博士と共にね」
梓は無表情でそう告げる。
「だけど、博士も災害で亡くなったの。私一人を助けて、流された」
「・・・そうだったのね」
小此木先輩は、顔を伏せて呟いていた。
「私は知っているわ。この先、何が起きるのか。そして、その未来が私一人じゃ回避できないことも」
僕に梓は、必死で協力を求めている。
感情を失ったはずの声からでも、それだけは理解できた。

「LeD LiNKを、再生したい。それが目的で此処へ来た」

梓が僕を見つめ、紳士に告げた。
数年ぶりに姿を現した彼女は―

予言者だった。