「久し振りね、御琴」
「あ・・・あず、さ・・・?」

なんで。
なんで彼女が此処にいる・・・?

しかも、生きてる。

「梓・・・なのか?」
「他の誰に見えるの?」
「生きてたんだ・・・」
僕は目を見開いていたのだろう。
きっと、とても間抜けた顔をしてたに違いない。
だけど、梓は無表情に告げた。

「私一人が、生き残ってしまっただけ」

その言葉は、何よりも重かった。
梓の顔が見れたことで、他の奴らも生きてるかもしれないと期待した僕に対して、梓はただ真実を告げる。
「LeD LiNKの通信は途絶えた。あなたと私しか、最期の夜へ対抗出来る存在はもう、いないわ」
「最期の、夜・・・?」
「前例を述べるならば、『ワルプルギスの夜』の方が合うかしら」
梓の言葉が、理解できない。

「・・・まさか御琴、5年前のこと、忘れているの?」

「ご、ねん・・・まえ?」
「っ、」
梓が歯を噛み締めたギリッ、という音が聞こえた気がした。