「さ、佐藤さんっ…」


視界がボヤける。

「あっ
 まぃちゃんっ…」


タッタッタッ
 ガチャッ


ぼやけた夕焼けが
視界を紅くそめる


水の中に入っていくように
体温が下がって
外界の音が消えていく
赤かった視界が


 暗く…


  …青く。



夜へと変わった空に
 私の声が割れる



「おかっ…さん
 おかあさんっ」


私にはお母さんが2人いる

1人は私を産んでくれた人


もう1人は…


「お母さん」