ドクン と、胸が苦しくなる。 「…うん、そぅ、ですね…」 「寂しくなるな」 ん――と背伸びをする先生。 先生の伸ばした腕がわたしの髪に一瞬、触れた。 「な― お前っていつもここで本読んでたよな?」 「―――え?」 「いや、俺いっつもグラウンドにいるからさ、見えたんだよ。 今日もいるな―とか、今日はいないけどどうしたのかな―とか、何気に思ってたわけよ?」