そんな些細なことが嬉しくて泣きそうになった。 ……泣かないけど。 「あっ! ここ、ここ!!」 レイが立ち止まったお店。 高級感あふれるメンズショップ。 あのクラスメイトには絶対似合わないだろう。 雰囲気からして、場違いだわ。 でも……零に似合いそうなものはたくさんあるわね。 ショーウィンドウに飾られたネクタイ。 その中で一際目立つ黒のネクタイ。 これ、零っぽい。 これ…プレゼントしようかな。 「どうかな?」 「とても素敵…」 「入ってみる?」 こくんと小さく頷く。