揺らぐ視界にうつる零の困った少し寂しそうな顔。

零は鹿革の白い手袋を外し、私の涙のあとをなぞるように拭きとってくれた。



「お嬢様……」



切なく、甘美な零の掠れた声。

胸がキュンと狭くなる。






「……好き、」


「え…?」



「私、零のことが好き」




零が目を見たことないくらい目を大きく見開く。


その顔に自分の言った言葉の恥ずかしさに、顔が熱くなってきた。



いつも、どこかで感じてた想い。


これが好きの気持ちだって断言することは出来ないけど、きっとこの苦しさは”恋”だと思う。





そう信じたい。