唇を割って入ってきた少しザラザラした熱いもの。

零の舌だと分かるまで、時間がかかった。


零の動きに合わせるように、たどたどしく動かすことしかできない自分がちっぽけに感じる。



零はやっぱり、大人の人なんだ。

こんなこといっぱいしてきたんだ。


「っ…れ、ぃ」



キツく閉じていた目を開けると、切なそうに顔を歪ませる零の顔があった。

途端に唇も解放される。



銀糸を引いた零の口元がいつも以上に艶やかで、顔が熱くなった。



「お嬢様」



小さく動く零の口から、掠れた弱弱しい声が漏れるように出る。


何……? 何でやめるの?



「お嬢様をこんな形で抱くことは…私め出来ません」


「え…?」



心の声が思わず漏れるのと同時に、心がズキンと痛んだ。

すごく苦しかった。