「どうなされました?」


「怖い夢見たの……零、少し傍にいて」



寝惚けたようにうっすら目を開け、私の服の裾をちょこんと摘むお嬢様。

起きてるときとは大違いです。


でも、そのギャップがたまりませんね。



「仰せのままに」



しばらく経つと、掴む手の力も緩みすーすーと愛らしい寝息が静かな部屋に響く。


なんでいつも素直じゃないのでしょうか。


頬を優しくなぞるように触ってみると、


「……んんっ」


可愛らしい甘い声。

お嬢様は、本当に損していらっしゃっていると思うのですが。


ベッドの隅に落ちてたリスのぬいぐるみを枕元に置き、お嬢様の肩まで布団をかぶせる。


猫っ毛な髪が枕の上で散らばって何とも愛らしいお姿。




お嬢様の笑顔も堪能したことですし、仕事に取り掛かるとしますか。