「零がいないと、私…っ」


「私がいないと、なんですか?」



にっこりと笑顔の零。
私の心中はもうお見通しらしい。

それくらい、憎たらしいほど余裕たっぷりの笑顔。



むむ……っ!?



彼の笑顔に、徐々に黒いものがもやもやと広がっていく。


言ったら…負けじゃないかしら?

きっと、零の思うようなツボだわ。
都合が悪くなったらこのこと持ち出して、そして恥をかくのは私だけ。


絶対に、言うもんですかっ!!



「なんでもない。忘れたわ」


「……忘れた?」



眉を潜め、見るからに分かる不機嫌そうな零の顔。
さっきの余裕の笑みはどこへやら。