「え、では…零さんに言うしか…あ、ありませんね」


小さな声で、ボソボソと私でも分かることをボソリと呟いた亜美。

怒っているようなキツイ瞳。
その一方、それをかき消すように小刻みに震える唇。


もっとマシな答えを期待してた私は、そのおどおどした仕草にも腹が立ってくる。


「そうね…」


はぁとひとつため息をついて、零が来るのを待つ。



零が来るのが待ち遠しい。

一人でいると何度も何度もそう思ってしまうことに気づかないフリをしてた。


「零の存在は私のすべてだ」そう錯覚してしまうほど、零がいないと心細い。

それに鬱になりそうなほど、つまらない。



「亜美、もう戻っていいわよ」




一人になりたかった。

亜美が後ろで何も言わずに立っていることが目障りだった。



「はい…お嬢様」


ぱたぱたと足音が遠ざかっていくのを目を瞑りながら聞く。