お…落ち着くのよ、朱里。

いちいち反応してたら、キリがないわ。
ひとつ深呼吸をして胸のドキドキを押さえ込む。


ほら、大丈夫。

全然ドキドキなんてしないわ。



「私に断らなくてもいいから、零が気付いたらして頂戴」



嗚呼、私って大人。

自分に酔いしれながら、トーストを頬張る。


む……っ! また蜂蜜がっ!



そう思ったときには…


「お嬢様、またついてらっしゃいますよ」


にっこりと微笑む零の綺麗な指によってさっと拭き取られていた。


指についたそれをペロッと舐める零。
まるで見せ付けているように。



い……っ!

「いやらしいわよ、零」



エロ執事。

顔がいやらしい。
行動もいやらしい。