「お嬢様」 零の耳に残るしつこい甘い声とともに、肩を優しく叩かれる。 口の中で広がる甘さの余韻を楽しんでいたというのに… 変なとこで気が利かないヤツね。 「何?」 「お口の周りに、蜂蜜が……拭き取った方がよろしいですか」 え………っ!? 恐る恐るそっと触ってみると、べたっという最悪な手触り。 ベタベタになった指先。 う、嘘でしょ? でも、この光景が幻覚なワケがない。 さーっと血の気が引いていくのが分かった。