「殺したらそれで終わりなんだぞ? もっと痛い目あわせなきゃ気がすまなくないか?」



にたにたといつものように笑いながら、話しだしたお父様。

その笑いに思わず背筋が凍る。



「俺の知り合いに、警察官がいるんだよ…今すぐ電話してもいいんだよ? 亜美ちゃん」



亜美は、何も言わず部屋を飛び出していった。


……野放しにしていいの?

そう思ったけど、ああいう女はまた。
同じことをやらかすだろう。


だから……

そのときまで、夢を見させてあげてもいいかも…そう思う。

良い夢か、悪い夢かは分からないけどね。



「朱里? …零のとこに行ってやれ」



亜美が去っていったドアをぼーっと見つめるあたしに、お父さんは優しい微笑を浮かべながら言う。


小さく頷いてあたしは部屋を後にした。