「秋!帰ろっ!」
帰り学活を終え、あたしは秋のところに荷物を持って向かう。
「ん」
それだけ秋は反応して、立ち上がって荷物を持つ。
二人で、下駄箱の方へ向かって歩いていると、先日秋に告白していた女の子が視界に入る。
チクリ、と胸が傷んで、あたしは直ぐに目を逸らした。
そしてお互い何も言わないまま、靴を履き替え、門を出る。
あたし、初めてかもしれない。こんなに秋と話さない時間。
なんてぼんやり考えながら信号を渡ろうとすると、
「っ、バカっ!危ない!」
と言う秋の声と秋の腕でぐいっと引き寄せられた。
あたしは何がなんだかわからず、ただ、まばたきを繰り返した。
すると目の前にサーッと車が通って行った。
ドキ、ドキ、ドキ。
危ない。車に轢かれるところだった。
「秋、ごめん。ぼーっとしてた。ありがとう。」
それだけ伝えると秋は
「本当に気をつけろよ」
それだけあたしに言って、助けてくれる為に抱き寄せていたあたしの身体をスッと離した。
離れるの、寂しい。
こんなに危ないことがあったけど、あたしは秋の手にもドキドキとしていた。
秋はあたしの顔を見て、ん?と言いたそうな顔をしていた。
「……しおり?」
秋があたしの名前を呼んで、あたしは秋に
「なに?」
とだけ返した。
すると秋は、あたしの頰辺りに触れた。
あたしの頭の中はハテナでいっぱいだった。


