……あたし、この腕を知ってる。
「何か用あった?」
と上からあたしが一番好きな人の声。
「っ、別に?一人だったら相手してやろうと思っただけだよ!」
じゃあな!と、一言付け足して、男は足早に去っていった。
「……大丈夫?」
そのままの、体勢でしばらくして、あたしに問う
「だ、大丈夫です」
だなんて、あたしらしくない敬語で言えば秋が笑う。
「震えてんのによく、ゆーよ」
秋が優しく笑いながらあたしを包みこんでたその片方の腕で頭を、撫でた。
…あたし、震えてたんだ
全然、気付かなかった。
悪かった、と頭にあった手もいつの間にか背中にまわってそのまま、
ギュッと後ろからあたしを――抱きしめたんだ。


