「秋、手ー出して?」
クレープを持ってない丸めた手を彼の前に差し出して、彼の手のひらの上で手を開いた。
チャリンと、あたしの手から放し落ちたお金が、高い音をたてる。
「ありがと!」
と言えば何故だか少し不機嫌そうになった、秋の顔。
気になりつつも"いただきます"と食べる手を進める
「んー、美味しい!そういえば秋は何にしたの?」
と、秋が持っていたクレープをあたしに見せる。
「ミルフィーユだ!
ちょうど今後悔してたの!
…ちょっともらってい?」
と、問えば"ん"と口の前にクレープが出されて。
パクッとそれをそのまま食べる。
わかってるよ。
他から見たらやっぱり、確かにカップルだと思う。
でもね…秋にとっては、何もないんでしょう?
ハイッとあたしも差し出して、秋が食べるのを見て笑う。
笑って誤魔化さなきゃ、顔が赤くなってしまうから。


