―…ほら、わかってた。
隠れていて、あの時、名前を呼ばなくて正解だ
秋がモテるのは小さい頃から。
ルックスは勿論、中身も無愛想だけど優しい。
所謂、女の子のクールな王子様的存在。
みんなの、憧れ。
そんな秋と一緒にいれるのは、あたしが秋に馬鹿みたいにくっついているからだ
秋から、あたしに来ることはない。
全部、あたしからだった。
「気持ちには答えられない」
秋が、そう言えば女の子は泣きながら、あたしの存在にも気づかず、真っ直ぐに走り出していった。
はぁ、と隣から聞こえてきた重たい溜め息。
あたしも秋を、困らせてしまうだけなのでしょうか。