紅蒼ノ魔女(仮)

「助けてくれてありがとう。」


「当然のことをしたまでよ。」



優しいなぁ。


見ず知らずの僕なんかに。


しかも紅色の髪を持つ僕…


って今度は元に戻ってる!


自分の髪を見て不思議そうな顔を浮かべるとそれに気付いたように声をかけられた。



「貴方、魔女よね?」



一瞬ドキッとしたがおそらく紅色の髪を見られていただろうからバレていてもおかしくはない。


バレてっていうのも変な表現だけど。


僕自身よくわかっていないんだからこの返答がピッタリだろう。



「さぁ?」


「さぁ、って…」


「悪いけど僕に魔女だったっていう記憶はないんだよね。

ただ沢山の人々が僕を見て魔女だぁーって攻撃してきた事実はあるけど。」


「…記憶をなくしているの?」


「そうだね…

日本にいた時の記憶ならしっかりとあるよ。」



そう言うと日本?と小さく呟く声が聞こえた。


日本を聞いたことないってことは、外国でもない?


異世界、か。