紅蒼ノ魔女(仮)

「危ない、危ない。」



まるでなんとかよけられた、みたいな言い方だが、血が出ている時点でそれはない。


ちゃんと痛みも感じる。


あーあ、リボンが血で汚れちゃったよ。


これ一本しかなのに。


まぁこっちではあまり使わないんだけど。


腕に流れた血を反対の手で拭う。



「ひどいケガだね。」



でも笑みはやまない。


セオリーとシナ、ユラハまでが驚愕の表情を浮かべている。


そりゃあそうだろうね。


あんな攻撃を受けたら普通は立つことなんてできない。


死んでいてもおかしくないんだから。



「お、前っ…!」


「君の矢、威力があるね。」



随分と魔力を込めてくれたようだ。


おかげでこのざま。


本当に僕、力が大きくてよかったよ。



「魔女の攻撃を受けることなんて滅多にないからね。

一度受けてみようと思ったんだ。」



でもそれは今回やるべきじゃなかったかな。



「じゃあお前はわざと受けたっていうのか!?」


「当たり前じゃん。

あんな前から真っ直ぐやってくる攻撃なんて、簡単によけられるよ。」



狙うなら不意打ちか死角からじゃなきゃ。


戦闘の仕方がなってないよ。



「あんた何者?」



ユラハに問いかけられる。



「答えて欲しい?」


「答えろ。」



それが人に頼む時の態度?


とかは別に言わないけどねー。



「本当に?

君達、後悔するかもよ。」



それでも答えを聞きたいのか、何も言ってこない。


どうしよっかなー。


まぁもうそろそろかなって思ってたし、いっか。


君達さどんな反応を見せるのかな?


僕の正体が…



髪を上の方で一つにまとめ、リボンでしばる。


イヤリングが見えたのと共に髪の色が紅色にかわっていく。



そう、紅魔女だと知って。