紅蒼ノ魔女(仮)

「ちょっと待て。

…カイヒ・コトヒラ。」


「何かな、セオ?」


「貴方は私達を見てどう思った?」



どうって…


別にとくにどうも思わなかった気がする。


あえて言うなら、



「橙魔女だー、みたいな。」


「それはふざけてるのか?」



真面目に答えたのに。


じゃあなんて答えればいいんだ?


人間の敵、殺さなくては、とか?


ついでに、恐怖とかも感じた、とかかな。



「僕は人間の考えに賛成はしていないから。

魔女を殺すだなんて考えてないよ。」



そんなつまらないことは時間の無駄。


僕は暇じゃないんだ。



「嘘です、セオリー様!

騙されてはいけません!」



叫んだ橙魔女の手がポワーッと光る。


そしてその手に魔道具…魔弓が握られた。


矢が見当たらないことからきっと魔力でつくられるんだろう。



「セオリー様の手を汚す必要はありません。

私がやります。

ユラハ、そのまま押さえていて下さい。」



弓をひく。


もちろん的は、首に魔剣をあてられた僕。



「君はユラハというんだね。

じゃあそっちは?」



だがそんなことは気にもせず、あごで魔弓を構えている橙魔女をさす。



「やっぱりあんた馬鹿でしょー?

本気で死ぬよ?」



力を込められる。


あーあ、折角血が止まったのにまた流れ出しちゃったじゃないか。



「あはははっ。

こっちからしたらやれるもんならやってみろ、って感じなんだよね。」



余裕、余裕。


余裕過ぎて今ここで眠りたくなっちっうよ。


それじゃあさすがにやられるか。


さて…


もうそろそろかな。



「それならお望み通りやってあげます!」



矢がすごい勢いで放たれた。



「最後に教えてあげましょう。

私の名前は…」


「シナ!!」


「と言います。」



セオのシナをとめようとする声が耳に響き、シナのニヤリと笑う姿が目に映った。