紅蒼ノ魔女(仮)

「動かないでねー。

動いたら、切れちゃうから。」



首に痛みが走るがそこまでではない。



「君達はなんていう名前?

僕に教えてくれないかな?」



こんな状況でも笑っている。


最終的に僕は殺されない。


だって危ない状況になった時、僕には切り札があるから。



「あ、そういえば。

セオは僕の名前を知っているのかな?

一度も呼ばれてないからさ。」


「セオ、とは私のことか?」



君以外に誰がいるの?と笑う。



「貴様、セオリー様になんという言葉遣いを!」



セオのそばにいる橙魔女の怒りをかってしまったようだ。


彼女からしたらセオは上の者かもしれないけど、そんなの僕には関係ない。



「僕にとってセオは、様付けも丁寧な言葉遣いもする相手ではないよ。

そんなことぐらいわかるよね?」



クッと悔しそうに顔を歪める。


いやー、主とそれに従う犬みたいな関係だね。



「で、名前は?」


「いい加減にしなよー。」



ツーッと首から血が垂れるのを感じた。



「君今おかれてる状況理解してるのかなー?」



口調とは違い、脅すようにどんどん刃に力をいれていっている。


魔力も感じるからこれは魔道具。


剣の魔道具だろう。


ここから魔法が放たれたりするのかな?


見てみたいなー。


…あえて攻撃受けてもいいかな。


うーん、うーんと唸っていると空気がかわり、さすがにやばくなった。


セオ以外の二人が僕を消そうとしている。


本気の本気で。


死にはしなくてもこのままだと大ケガしちゃったりするかも。


できれば少しの傷ですませたいんだよな。


治癒力は高かいんだけど痛みを感じない訳じゃないから。


チラッと視線を下げる。


見えた訳ではないが、治癒力が高いのおかげでさっき傷つけられた場所は既に血が固まっている。


橙魔女さん達は気付いてないみたいだけどね。



「セオリー様、こいつ消すね?

いいでしょー?」