「同じ物を持つ者はいないんでしょ。

初めて見るのは当たり前じゃないか。」


「そう、なんだけど…」



首をひねるトラ。


にしても不思議な銃だな。


一見、重そうなのにかなり軽い。



「あんた魔道具の出し方知ってたのね。」


「いや、知らなかったけど。」


「じゃあどうして呪文を言えたの?」


「よくわからないけど頭に響いたんだ。

だから言ってみた。」



トラの声じゃないなら誰の声だったんだろう?


声…って言うのもなんか変な感じがするし。


高かった?


低かった?


うーん、やっぱりわからないや。



「呪文で思い出した。

僕てっきり、魔道具って杖だと思ってたんだけど。」



魔女が銃を持つなんて聞いたことがない。



「もちろん、そういう魔女もいるわよ。

だけどタイプが異なるって言ったじゃない。」



それってそういう事だったんだ。


見た目のことだけだと思ってた。



「さっ、魔銃も手に入ったことだし試し撃ちをしてから修行を始めるわよ。

もう少し奥に行きましょ。」


「わかった。」



僕は先に歩くトラについていき、奥に入って行った。



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たまたまでなければ人間が通らないところまでやってきた。


時々魔獣は通るみたいだけど。


で、トラが木にかけてくれた的を狙い試し撃ちをしてみようと思った。


が。



「トラ、これ引き金ないよ。」


「はっ?」



上から、下から、横から、全ての方向から見てみるがない。


持つ部分と筒の部分を繋げる辺りに普通ついているよね?



「やっぱり見たことないわよ、こんな魔銃。

色々な魔銃を見たことがあるけど引き金がないなんて初めてだわ。」



…これどうやって撃つの?



「呪文言うと、弾が出たりとか」


「ではないわよ。

引き金を引いて撃つんだから。」