「サイリ様。」


「…何か用?」



冷たく返した。


でも前に見た時と一緒のような気がするから、あれが普通なのかな?



「サイリ様。

やっとですわ。

やっと貴方と結婚することができます。」


「……」


「もう少し早くしても良かったのに、貴方のお姉様が反対していたから。」



リーシィ…


君はいつからあんな態度をとっていたんだい?



「別に、何だって構わない。

俺は言われた通りにするだけだから。」



それ、シュリアのことが好きじゃないって言っているようなものだよね。


あんなに好意を向けているのに。



「サイリ様が私のことを何とも思っていなくても私は好きです。

だからこの結婚を嬉しく思います。」



性格は悪いけど一途な乙女。


普通の女の子、だな。


だけど君は冷たく返すんだよね。



「用はそれだけ?

なら部屋に戻れ。」


「…失礼します。」



部屋に戻って一人で泣く。


そんな姿は想像できないけど。


恋も大変だな。


それが一方的だと特にね。



「…出てくれば。」



あらら、やっぱりバレてたか。


王子だしその辺の教育はしてあると思ったんだよね。



「盗み聞きしてすみません。」



聞くつもりはなかった、と言ってもすぐ嘘だってわかるだろうからとりあえず謝っといた。


心はあまりこもっていないけど。



「カイヒ、だよな?」


「はい、サイリ様。」



シュリアが呼ぶように様付けをする。