紅蒼ノ魔女(仮)

街はとても楽しかった。


人が沢山いるけど東京のような都会とは違って、みんな穏やかな顔をしている。


建物も、ビルなんてものは一つもない。



「あ、風船…」



空を見ると先程通ってきた道で配っていた風船が風に流されていた。


あの風船はいつ割れるんだろう?


どこまでもとんでいくことはできないはずだから。


じーっと見ているとどこか懐かしい声が聞こえてきた。


周りを見渡してみるが、僕に話しかけている人はいない。


直接僕の頭に響かせているような感じ。


ふっ、と 身体が勝手に進み出す。


何かに導かれるように。

知らない道なのにどんどん足が動く。



「カイヒ様!?

お待ち下さい!」



護衛の声にも反応せず、ただ頭に響く声に従い歩き続けた。




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「あ、れ…ここは?」



身体が止まったのは細道を抜け、人の気配がないところ。


だけど、何かを感じる。


おそらく僕に声をかけていた者。



「あたしに操られるなんてまだまだね。」



ほーら、やっぱりいた。


よく考えれば思い出せる声。


あれはあっちできいたことのある声だった。


何日かしかたっていないのに、懐かしいなんて気分になっちゃって。


まぁあまり会う機会もなかったけど。



「やぁ、隣のお姉さん。」


「バレてた?」



そうイタズラが成功したような表情をする。


それは確かに隣のお姉さんの表情だった。


だけど、見た目が違う。



「トラ?」