「はっ。

紅魔女が蒼魔女に負ける訳がないだろう?」


「言ってくれますね。」


「そっちこそ、な。」



蒼魔女の頂は笑っているけれど、よく見ると額に怒りマークが…


紅魔女の頂は、僕と会った時とあまり違いはなかった。



「にしても…」



こう遠くから、魔力をつかって会話をきいているが…


あの二人は本当に味方同士なのだろうか。


本気でお互いを消す、いやそこまでではない。


精々平伏させようとしているように見えるんだが。



「でも本当に頂の狙いは人間よ。」


「トラ。」


「話しているのをきいたもの。」



何、それ。


僕初耳なんですけど。



「カイヒが草原の真ん中でぼーっと空を見上げていた時にちょっとね。」



トラが言うことが本当なら。


演技がうますぎだと思う。


まぁ周りの魔女達が一緒にギャンギャン相手に言っているから、というのもあるかもしれないが。


ただ頂のすぐ側にいる者は静かだった。


そこには、蒼魔女の方にはクル、紅魔女の方には少し離れていたがセオがいた。


気が乗らない表情をしている、と感じてしまうのはきっと僕の願望からだろう。



「直接対決は避けたいな。」



といっても無理か。


今ここにいる時点でそんなことはできないとわかっている。


ゴーン、ゴーン…


これは、鐘の音だ。


シュリアが言っていた。


式の日は始まりと終わりの時間に鐘を鳴らすと。


つまり、サイリとシュリア結婚式が始まったということだ。


紅魔女と蒼魔女の頂もさっきまでの子供じみた睨み合いをやめていて、周りの魔女達も静かになった。


誰一人話さない。



「それでは、始めましょうか。」


「そうだな。」


「「魔女の戦争を。」」



一斉に、動き出した。