紅蒼ノ魔女(仮)

「貴様は紅魔女だな?

つまり俺らの敵だ。」



疑問形なのに答えさせてくれないんですか。


あと、敵なのは決定か。



「何故紅魔女がここにいる?

もう移動しているはずだろう?」



そうだね。


紅魔女は移動しているんじゃないかな。



ふと、押される力が弱まった。



「やはり、信じなければ良かった。」



クルの小さな呟きは僕の耳にしっかりと届いた。



「消さないの?」



ピクッと反応を示すが、動く様子はない。


僕は、クルを騙していたってことだもんな。


ひどいことを、してしまったのだろう。



「ゴメン、クル。」



悪いとは思う。


でも、バレてはならなかった。


大切な人達を守るために。



「ゴメン。」


「なんで謝んだよ。」


「僕のせいで、傷ついてるから。

…それと、」



バンッ


剣を受け止めたまま、弾を空に放った。


その隙をついて、距離をとる。



「君達の邪魔をする存在になるからかな。」


「…っ!

やっぱり敵なのか…っ!?」


「間違ってはいない。

君にとって僕は敵だろう。」



そうクルにとっては敵だ。


だけど、僕は。



「紅魔女にとっても敵だけどね。」


「…どういう、ことだ?」



何を言っているのかさっぱり意味不明という表情をする。


馬鹿なのは変わっていないらしい。



「僕は戦争を止めるからね。

自分自身のために。」



だから君の敵。


味方は…あえていうならトラ?かな。