紅蒼ノ魔女(仮)

髪の色が紅色に変わる。


イヤリングが静かに音をたてた。



「さてさて、魔銃さん。

本番前の、実践練習だよ。」



走りながらだってはずしはしないからねっと。


バンッ!


弾は魔女の足に命中した。


さすが、僕。


狙った的は…時々は、はずすかもしれないけど。

まぁ、気にしない。


でも当たったのにもかかわらず…



「なかなかとまってくれないんだよなー。」



もう一度魔銃を構え、弾を放つ。


今度は連続で。


しかし、やはり落ちてはくれない。



「空飛べたら楽だったのにな。

それに面白かった。」



これは無い物ねだりだから仕方がないけどね。


はぁ、と溜め息をついた。


本当はもう正体がわかっている。


気配を感じた時から知っているような気はしていた。


それが姿を見て、確実となった。



「もう思いっ切りいくよ。」



威力を下げるという、僕にしては優しい行為をしてあげたというのに。


言うこと(?)をきいてくれないのでは意味がない。


目を閉じ、身体に流れている魔力を銃に込める。

そして目を開いた瞬間、魔弾は放たれた。



「うわっ!」


「ばっちり、命中。」



今度はしっかりと木から落ちてくれた。


だけど油断は禁物。


すぐさま連続して弾を撃ち、落ちた魔女の周りを囲うように円を書いた。



「君はそこから出ちゃダメだよ。」



走るのをやめて、勝ち誇った歩きで距離をつめる。



「くそっ、誰だ!?」


「僕は覚えてるのに。

君は忘れちゃったんだね、クラウル。

もといクルクル。」



彼は魔女ではなく、魔者でした。


どっちでもいいんだけど。