俺の会った魔女もそうだ!


そうやって最初は親しいふりをして近付いてきた!


だが、最後にはこれだ。


それだけ言って男は気を失った。


人間にとって魔女が敵になるのは簡単だった。



「…魔女は人間に攻撃され、森を焼かれ大変だったそうよ。

その後紅魔女と蒼魔女の仲も悪くなった。」



これでお終い、そう言ってトラはしめた。


トラはずっと窓の外を見ていた。



「本当に蒼魔女が攻撃したの?」


「違うでしょうね。

だけど仲が悪くなったのはこれが原因よ。」



何故だろう?


納得できない。


認めたくないだけなのかもしれないけど、何かが引っ掛かる。



「この情報はどこから?」


「魔女の頂が話しているのを盗み聞きさせてもらったのよ。

だから間違いはないわ。」


「そう。」



これをサイリに聞かせてもよかったのだろうか。


チラッとサイリを見ると何かを考えているようだった。


リーシィは珍しく無表情だ。



「私は帰るわね。」


「ありがとう、トラ。」


開いた窓から出て行った。



「僕達も解散にしようか。」


「そうね。」



リーシィも去っていった。


だけどサイリは動かない。



「サイリ?」


「…バルコニー。」


「え?」


「バルコニーに、行かないか?」



コクンと頷き僕達も部屋を出た。


何かが引っ掛かる。


何だ、トラの言っていたことは本当なのか?


サイリ、君にはわかる?


真実が。