紅蒼ノ魔女(仮)

「やめろ。」



一番怒っていたと思われるハナノアが、さっきとはうってかわった落ち着いた態度で、静止の命令を下した。


魔女達は躊躇いながらも逆らいはせず、武器をおろした。


僕も構えていた身体を緩ませる。



「貴様の気持ちはよくわかった。

だが、こいつらがそう思っているか、貴様にはわかるまい。」


「そうだね、僕にはわからない。

だけどそれは君も同じだ。

本当の気持ちなんて本人にしかわからないものだよ。」



僕と違う意見を持つ者が世の中に沢山いるのは普通だってことを僕は理解しているつもりだ。


それでもやっぱり、上下関係をつくるのは変だ、という自分の意見を通したいと思う。


それもまた普通のことで。



「だからさ、僕についてくる魔女達はいないかな?」



自分で誰かの下につきたいと選び、ただそれだけではなく、自分の意見も話せる。


従うだけじゃない、そんな仲間を持ってみたいとは思わない?



「ふん、馬鹿じゃないのか!?

そんな奴、ここにはいる訳ないじゃないか!!」


「そうだそうだ!!」



誰かが言う。


でもそれは本当のこと?


ちゃんと、気付いてるのかな。


僕の話を聞いた後に木の上に登っていった者、目をそらすように下を向き続けている者に。



自分の意見は持っていていいんだ。


たとえそれが、全ての者に否定されたとしても。



「貴様にもう用はない。

我に逆らったことを後悔すればいい。」


「あいにく僕は、日々後悔しないように生きているんだ。」



そんな脅迫痛くも痒くもない。


あ、そうだ思い出した。



「最後に一つ。

戦争を起こす理由は何?」


「貴様に教える義理はない。

さっさと帰れ。」



言われなくてもさっさと帰るよ。



「カイヒ、様。」



セオ。


セオとはもう一緒にいられないのか。


少し寂しいかな。