「でも頂が知っているなら、前に会ったあの橙魔女に聞けばいいんじゃないの?」



思いついたように言ったリーシィ。


セオが魔女だともサイリには話していない。


危険を少しでもなくすため、できるだけ魔女が近くにいることは隠している。


そのため彼女もうまく言葉をつかったようだ。



「それは無理だ。

知っているのは紅魔女と蒼魔女の頂だけらしい。」


「何よ、それ。

不便ね。」



僕も心からそう思うよ。



「だから僕は紅魔女の頂に会おうと思っている。」



蒼魔者に顔がバレているため、蒼魔女の頂と会うのは難しいだろうから。



「そうは言っても、そんな簡単に会えるのか?」



今まで黙っていたサイリが口を開いた。



「いや、できないだろうね。

だからこの運にかけようかなー、なんて。」



なんて言ってみるがそれはもちろん嘘だ。


多分セオが戻ってきたら僕は…


チラッとリーシィを見る。


視線だけで頷いてくれたみたいだから、伝わったようだ。



「…本当に、紅魔女と蒼魔女は仲が悪いのだろうか?」


「え?」



ふいにサイリが言ったがよく聞き取れなかった。



「いや、何でもない。」



サイリはそれだけ言うとまた黙り込んでしまった。


何か考えているようだったので、僕もそれについて触れるのをやめた。



「僕が魔女についてかぎまわっているということは、危険が伴うということだ。

絶対に気は抜かないこと。

また何かわかったら連絡する。」



それで話は終わった。


僕はあまり魔女を危険物とは思っていない。


それはサイリも多分同じで。


でもそう思う理由はまったく違う。


僕は面白いに繋がるもの、サイリは恩人でもあるということ。


その違いに少しだけ変な感情を抱いたのは何故だろうか…