待ち合せ

チュン、チュン…。


朝になった。


里香は、今日も俺のいなくなった事実を
夢であってほしいと願って起きるが、
壁に掛けてある喪服を見ては現実を突きつけられる。


もうすぐ、俺の葬式やらお通夜やら近いらしい。


気付け里香。

窓辺を見ろ…。



「あれ?」


気付いた。


「…。サンタ……」


そう、サンタと時計のレプリカが入ったスノードーム。


「浩幸…?」


俺からの、少し早いクリスマスプレゼント。



「浩幸…っ!」


ぎゅっと、それを泣きながら握る彼女を見た瞬間。


体が急に軽くなった。
水の中にいるみたいだ。


そっか。
俺、安心できたからもう行かなきゃいけないんだな……


徐々に体が宙に浮く。

彼女に、もう会えないだろうか。
そうだとしても、運命は変えられない。


里香の部屋の天井を抵抗なくすり抜け。


町の景色がだんだんと小さくなっていく…。