待ち合せ


しばらく里香の元を離れて、生きている時に世話になった人たちの所へ行ってみる。


一緒に悪ふざけしたダチ、
部活でお世辞になった先輩、
センター、一般受験対策で行ったこの時間、誰もいない塾。
そして、家族…。

父さん母さん姉ちゃん。
みんな俺のために悲しんでくれたようだったな。
家のテーブルには葬儀屋のパンフとか、
難しい届だとかで散らかってる。

だけど、俺の部屋はそのまんまになっている。


ほんとにさ…。
このままにしてくれた事がこんなにも嬉しいとか思わなかった。

時間に置いて行かれたように、
俺自身の時間が止まったように、この部屋も一緒に止まっていた。


反抗期の時の自分が悔やまれた。
家族ってこんなにもいいものだったんだな。
ほんっとバカだったな、俺。

父さんは俺と色ちがいのトレーナー着て寝てるし。
母さんは小さい頃にあげた紙粘土で作った変なペンダント握って寝てる、
姉ちゃんは枕元に旅行先で一緒に撮った写真飾ってるし。

昨日の夕方死んだんだ。
そりゃみんな昨日は忙しくて寝れなかったよなぁ…。


ありがとな…

そして、親不孝でごめん。