「翔はね“そういう”ことやる時はね、すんごい優しいの!!」

「でね、終わった後もいっつも優しい言葉かけてくれるんだぁ」

「やっぱり翔は根はSじゃないんじゃないかな」


 少し違和感を覚えた。
 まぁ普段の会長から優しいトコが想像できないからだと思うけど。


「でもさぁ、昨日は激しかったよ!!」
 ちょっとホッとした。
 会長らしくて…って私!!
 何会長の心配してんのよ!!

「おかげで腰が痛くって」

 
 知るか!!
「あのねぇ、こっちはアンタのどーでもいい話聞いてやってんの!!ちょっとは遠慮しなさいよね!」


「あはっ、ごめんごめん♪でも“こういう”話はそのうち役に立つよん。いくらお堅い硝子でもいつかは処女捨てるんだし。」

 急に真面目な顔になった阿木。
 
「そっかぁ」
 納得。
 でも、これってノロケ話じゃない気がする。
 


「あ、翔からメールだ!!」

 真面目な顔が、また恋する乙女の顔に逆戻り。すっごい嬉しそう。
 でも、その方が可愛い顔だし、何より生き生きとしている。

「え~!あたしに用事じゃないんだぁ」

 ん?

「硝子。今日って朝、用事無い??」
「無い無……い?」

 あれ、確か昨日の会長の話で……。

――――「明日も、朝、集合な」

「うわぁぁぁぁ!!忘れてた!!」

「翔から“うるせぇ書記に伝えてくれ”ってメール来たの。今から5分以内に来ないとシバくって♪」


「えぇぇぇぇぇぇええええ!!!」
 私の特大の悲鳴。

 私は2日連続で近所のおばさんの説教を受けることになった。

 阿木は、そしらぬ顔をして逃げたけど。