図書室に入ると、窓際の席で本を読んでいる人物が目にとまった。 スーツを着ているので、恐らく教師であろう。 私は気にせず辞書があるコーナーへ向かい、英語の辞書を適当に手に取った。 「桐谷紫乃さん、ですね?」 不意に名前を呼ばれた。 声の主は、さっき読書をしていた教師……だと思われる。 「は、はい」 私がそう言うと、彼は静かに私に歩み寄る。