「うー……」 空腹との戦い……4時限目が終わり、私は机に張り付くように伏せる。 桐谷紫乃。 高校三年生。 偏差値、普通。 顔面偏差値、普通。 恋愛偏差値、低い。 どこにでもいる女子。 他人と違うところといえば、少しまぬけなところくらい。 「紫乃、食堂行こ」 「動けませーん……」 「バカ、早くしないと混むよ」 この正統派な意見をズバズバと言う彼女は、親友のあずさ。 クラスが同じで、いつも行動を共にしている。