思わず、足が止まってしまった。 鼓動の早まる心臓。 ぎゅっと締めつけられる胸の痛み。 「ナナー遅いぞー?」 いつの間にかあたしの目の前まで近付いていた桃ちゃんと、”あの人 ”。 笑いながらそう言う桃ちゃんの声も遠くで聞こえるように感じた。 「…ナナどした?」 反応のないあたしに、心配そうな桃ちゃん。 「…ううん、だいじょぶ。」 小さく呟き、俯くのが精一杯だった。