「……」

何とか上体を起こし、平助は椿を見る。

気のせいか。

今目の前に立つのは、いつもと同じ椿だった。

気質も変わりはしない。

剣客としては一流であるものの、平助ら新撰組組長のような超一流には及ばない。

超一流から見れば、凡百と変わりない。

しかし何故だ…。

何故先程は気質が違って見えた…?

困惑する平助の前で、椿は傷を庇いつつ再び刺突の構えを取る。

最も得意とする右片手一本刺突。

これがシイに通用しないのならば、他の技など繰り出すにも値しない。

つまりこの技でごり押しする以外、椿に打つ手はなかった。