ズイと。

平助の前に立ちはだかったのは永倉 新八、そして原田 左之助。

いずれも新撰組二番隊と十番隊の組長を務める猛者だ。

永倉は刀を、原田は槍を手に、平助との距離を詰める。

…頬を伝う汗。

永倉も原田も、新撰組の母体を作るきっかけとなった剣術道場『試衛館』時代からの同胞だ。

その実力はよく知っている。

たった一人でこの二人を相手にして、生きては帰れぬ事も。

(進退窮まったな)

ジリ。

平助の足が僅かに前に出る。