人外を取り逃がしたまま、椿は帰路に着く。

…平助とは、言葉もなくその場で別れた。

無言で去っていく背中に声をかけようと思ったが、それも憚られるほどに彼は殺気立っていた。

袂を分かったとはいえ、やはり壬生の狼。

新撰組八番隊組長と呼ばれた男は、孤狼としての矜持を湛えたままのようだった。