「あーつーい゛ー!」


さっきから隣で鬱陶しい
友だちの成実。



手でパタパタ仰いで暑さを和らげようとしている。




「もう、成美。
いい加減鬱陶しいんだけど」



確かに暑い。
背中がムシムシしてかゆい。




セミの鳴き声が私の苛々を増加させる今年の夏。





「だぁって、あり得なくない?
この時期にクーラーが故障なんてさぁ。

乃愛暑くないの?」




暑い。暑いに決まってる



ひょいっと視線を上にあげてもクーラーは動いてない。



それを見てまた現実に突き落とされたように暑さが倍増する。




前を見れば教壇に立ってるハゲの先生が汗を拭きながら、
一生懸命授業をしている。





この暑さの中で、誰1人と授業を聞いてる奴なんかいない。



みんな机にうなだれている。






もちろん隣にいる成美も。