だけど、あの日から 私はずっとピンクベージュに髪を染めつづけている。 これを保ちつづけるのは、意外と大変だけど 自分自身を保ちつづける苦しさに比べたら、どうってこともない。 あの日、イリヤはたくさんある箱から 迷わずにピンクベージュを選んだ。 それ以来、ピンクベージュは私の地毛なのだ。 たとえ教師が怒鳴っても。 たとえ根元から、真っ黒の髪が生えてこようとも。 私の髪は、ピンクベージュでないといけない。