私はふと、屋上にのぼってみたいと思った。 安全のために鍵がかかっていて立入禁止の屋上。 あの薄暗い階段の下をさぼり場にしているイリヤから、もしものために鍵をぶっこわしておいたと聞いたことがある。 もしもって、いつだよ……と思っていたけれど 今はまさに、もしもだ。 私は薄暗い階段をのぼって、鉄の扉に手をかけた。 軋む音と共に、扉は開いて そこには広い空が待っていた。