私がふと彼女の席に目をやると 彼女はまるで別空間にいるかのように、チューブ入りのリップグロスを塗りながら窓の外を見ていた。 彼女は、何も感じていないのだろうか……。 私は、噂話の輪の片隅で うなずきもせず 反論もせず ただ時間が過ぎ去るのを じっと待っている。 気味が悪いのは 誰よりも、私なんじゃないのだろうか。