イリヤを何と呼べばいいのか、私には分からない。 恋人でないのは確か。 そして友人とも違う。 私たちの中に、恋や友情のようなものはない。 イリヤと私を繋ぐものは何もない。 「そのタトゥー、どうしたの?」 私がそう聞くと、イリヤが待ってましたとばかりに笑った。 「この間、飼ってた金魚が死んだんだよ。」 「ふぅん。」 イリヤの目に滲みかけた涙を、私は見ないふりをした。