FRESH LEMONADE

野球拳の盛り上がりがピークに達した頃。

担任の飯島先生が教室に入ってきた。

「関、高塚!!…いい加減にしろ。朝っぱらから騒ぐなって毎回言ってるだろ!!」


朝、飯島先生が開口一番に関くんと高塚くんにお説教。

これも、ある意味うちのクラスの恒例行事となりつつある。



「いっくん、まぁそうカリカリすんなって。あんま眉間にシワ寄せてると、婚期逃すぜ?」


関くんが飯島先生に投げキッスをしながら言う。


…王子は、基本的に自由な子なんです。


「うるさい!!俺の婚期とか気にしてんじゃねぇよ。とりあえずほら、座れ。HR始めるぞー」


飯島先生も、そんな関くんの扱いにはだいぶ慣れたみたいで。

何事もなかったかのように、HRの準備を進めていく。


あたし達も、そんな先生につられて、おとなしく自分の席に着く。


当然、あたしの前の席には関くんが座ることになるわけで。


「うっす、梨菜。今日の野球拳、どーだった?」


「…おはよ。今日は最低だね。山下くんの全裸なんか見たくなかったんだけど?」


これは、あたしと関くんとの間での恒例行事。

関くんは毎日毎日、朝のイベントの感想を求めてくる。


「マジで?ヤマちん、案外イイ体してんぜ?」

「そういう問題じゃないの!!…高塚くん、どー思う?」


後ろを向いて、高塚くんに話を振る。


「あ、俺?俺は梨菜さんの味方だよー」

「え?なにそれ、諒介いつから梨菜狙いになったわけ?」

「安心しなさい。俺のハニーは英嗣くんだけだから」

「ダーリン!!諒ちゃん大好きっ」 


イチャイチャしだす、関くんと高塚くん。
(本人たち曰く“恋人ごっこ”)

うちのクラスの公認カップル。



「お前らHRする気ないだろ…」

飯島先生が呆れてるのも、いつものこと。



高校入学から1ヶ月。

関くんと高塚くんともかなり仲良くなって、充実した毎日を過ごせてます。