暗い目をしていた少女の表情が驚きを見せた。


これが戦火に明け暮れる国?

人々の笑い声が溢れ、国中が活気づいている。

もちろん戦争で争った跡も何もなく。



───フィルデラは負けた。
もう望みはないわ、この国に勝てるはずがない。



十分に理解しているつもりだったがレスピアンの姿を目にして、  

それがさらに実感として湧いてきた。



「美しい国であろう?貴方の国とはあまりにも違えて、驚きました?」

「そうね、けれどフィルデラの方が美しいわ。」


姫の強気な言葉に男は顔をしかめた。