「え…?」
そしてゆきは泣き顔を初めて優輝に見せる…
優輝は優しく話し出す。
「ねぇ…覚えてる?去年の俺達の入学式。」
去年の……入学式…
ゆきは過去の記憶を思い出す。
「去年は…桜が…凄く綺麗だった…」
そう…本当に綺麗だった…
隙間なく埋まった淡いピンク色の桜の木…
天気も良くて日に当たった桜の木は生き生きして見えてた…
すると優輝は嬉しそうに
「うん。桜、見てたでしょ?藍田さん…」
「え…」
「俺も見てたんだ桜の木…そしたら、小走りで走って来る女の子がいてさ…」
「………。」
「その子は俺には気づいてなかったみたいだけど、桜の木見た途端さぁ…」
一瞬あの頃の記憶が蘇った…
私は綺麗で堂々と立ってる桜の木を見て…
「すっっごい顔で笑ってんの!…あっ悪い意味じゃなくて…凄く…あぁなんて言うのかなぁ…」
そうだ…
私…笑ったんだ…
桜の木を見て…泣きそうな顔で…笑ったんだ…
