たとえば、母親だけしかいない。

でもその母親に愛情を注がれて育てられた場合に、この母親を守らなければいけないと男の子なら思うでしょうし、それが自立につながるんだと思います。

「母親には夫がいない。その分も僕が守るんだ」という認識ができれば、これは強い子になります。

私は、生徒たちがなにか悪いことをしたら、親を呼び出します。

両親と向き合ったときに、どんな家庭で、どんな愛情の注ぎ方をしてきたのかのパターンが見えるんです。

そこでは私は親たちに話します。

「あなたたちの責任であって、子どもの責任ではありませんよ」

と。

でも、両親のそれまでの生き方が反映しているわけで、なかなか直るものでもない根深いものなんです。

だから、子どもにはこう言います。

「君のご両親は、こういうところがよくない部分がある。だから、君はそれを全部、乗り越えていかなければいけないんだ。でも、ご両親の愛情が深いがゆえにそうなってしまっているんだから、ご両親を責めてはいけないよ。それは君が生まれ持った運命なんだから、否定でなく、肯定して受け入れなければならないんだよ。その前提のうえで、自分さえ変われば未来は変えられる。絶対に親のせいにしないで、自分を変えなさい」

自分が持って生まれた環境を卑下して、嘆いても仕方がない。

それを早めに理解して、諦めるということも、大事なことです。